カーミラ

分 類近代文学ヨーロッパ伝承
名 称 Carmilla(カーミラ)【ラテン語】
容 姿美しい少女の吸血鬼。
特 徴少女の姿で女性に近づき、徐々に生命力を奪う。
出 典レ・ファニュ『カーミラ』(1872年)ほか

美少女吸血鬼は美少女がお好き!?

カーミラは少女の姿をした吸血鬼。アイルランドの小説家ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュ(Joseph Sheridan Le Fanu)の怪奇小説『カーミラ(Carmilla)』(1872年)に登場する。黒髪で青白い肌をした美少女で、魅惑的な姿をしている。常に美少女を狙って近づき、一緒に暮らしながらゆっくりと生命力を吸い取っていく。

『カーミラ』の主人公は19歳の娘のローラである。彼女はシュタイアーマルクの地元名士の娘として、村から離れた城に父親と数人の使用人と暮らしていた。ひょんなことから、謎めいた少女を城で預かることになる。これがカーミラで、非常に美しい少女であった。

話し相手が欲しかったローラはすぐにカーミラとの共同生活に満足するようになる。しかし、カーミラには不思議な性質があった。毎日、寝室に入るときには必ず鍵をかけて部屋に閉じこもり、正午過ぎまで起きてこない。食事もチョコレート1杯だけで済ませてしまう。また、讃美歌を異常なほどに嫌った。加えて、しばしばローラの手を握り、抱き締め、頬を寄せるなどの過剰なスキンシップで迫り、愛を語ることさえあった。また、カーミラが城を訪れてから、周辺の村では女性が幽霊を目撃して体調を崩し、やがて死亡する事件が多発した。これは原因不明の熱病ではないかと噂されることになる。

ある晩、ローラは夢の中で黒猫のような動物に襲われ、胸を2本の針で刺されたような痛みに飛び起きる。部屋の中には黒い服を着た女性がいて、ゆっくりと出ていった。ローラが慌てて確認すると、部屋の鍵は内側から掛かっていた。その晩を境に、ローラは徐々に体調を崩していく。医師が診断し、ローラの喉の下に青い痣を発見する。

カーミラの正体と吸血鬼退治!?

実は、カーミラはローラの城を訪れる前には、ミラーカと名乗ってスピエルドルフ将軍の娘のベルタにとり憑いていた。スピエルドルフ将軍も、舞踏会で出遭ったミラーカを家に預かり、娘のベルタと共同生活をさせていた。そしてベルタも悪夢にうなされるようになった。医師が喉の下に青い痣を発見し、吸血鬼の仕業だと伝える。将軍はベルタの寝室に隠れて見張っていると、黒い何かがベルタを襲ったので、将軍がサーベルで斬りつけようとすると、それはミラーカだった。そのまま、ミラーカは消え、ベルタはそのまま亡くなった。

実は、カーミラの正体は、1世紀前に亡くなったカルンスタイン伯爵家の娘のミルカラだった。カルンスタイン伯爵家では、かつて吸血鬼騒動があって、村人がモラヴィアのヴォルデンベルグ家に助けを求め、吸血鬼退治をした過去があった。しかし、吸血鬼退治をしたこの男はミルカラに恋愛感情を抱いてしまったため、ミルカラが残酷な儀式で退治されることを恐れて、こっそりと墓の場所を移してしまった。この結果、カーミラは退治されずに生き残ってしまったのである。

スピエルドルフ将軍は、ヴォルデンベルグ家の末裔とともに、ミルカラの墓を発見し、その墓を暴くと、カーミラが眠っていた。そして、心臓に杭を打ち込み、首を斬り落とし、遺体を焼いて川に流した。こうして、カーミラは退治された。

なお、物語の舞台となったのはオーストリアのシュタイアーマルク地方で、実際に18世紀に吸血鬼騒動が起こっている。そのため、レ・ファニュはシュタイアーマルクを舞台として選択したものと思われる。

《参考文献》

  • 『怪奇幻想の文学 1 真紅の法悦』(編:紀田順一郎/荒俣宏,新人物往来社1977年)
  • 『Carmilla』(作:Joseph Sheridan Le Fanu,1872年,Project Gutenberg)(英語)

Last update: 2026/03/22

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