チャクシ(着尸)

分 類朝鮮伝承
名 称 착시chag-si〕(チャクシ)《着尸》【朝鮮語】
容 姿死体。
特 徴死体に触れると身体にくっついて離れてなくなる。
出 典成俔『慵齋叢話』(1525年)ほか

身体にくっついて離れない死体!?

チャクシ(着尸)は朝鮮半島の伝承に登場する死体の妖怪、あるいは怪現象。チャクシ(着尸)に触れると、身体にぴったりとくっついて、いくら頑張っても引き剥がすことができなくなるという。死体がくっつくなどと言うとまるでゾンビのようだが、チャクシ(着尸)の場合、死体そのものに意志があるわけではなく、単にくっついて離れなくなるだけだとされている。

朝鮮王朝時代の文臣である成俔(ソン・ヒョン)が記した説話集の『慵齋叢話(ヨンジェチョンファ)』(1525年)第6巻には、長遠心(チャン・ウォンシム)という僧侶が不思議な死体と遭遇した話が載っている。

チャン・ウォンシムは飾り気も欲もなく、定住する場所があるわけでもなく、城壁で寝たり、市場の真ん中で寝るなど、自由気ままな人だったが、旱魃や水害などが起こると弟子たちを集めて熱心に祈り、ちゃんと霊験もあったという。人に乞われれば自分の服を全て脱いで与えたし、身分の高い人に敬意を示すわけでもなく、愚かな人にも気さくに話しかけた。そして、死体を見つけると背負って運び、埋葬した。

あるとき、チャン・ウォンシムが谷を歩いていると、捨てられた死体を発見した。彼はひどく心を痛め、声を上げて泣き悲しんだ。そして、きちんと埋葬してやろうと思って死体を背負って歩き出した。

しかし目的地に到着しても、何故か死体は背中から離れなくなってしまった。この死体を引き剥がそうとあらゆる手を尽くしたが、死体はびくともせず、そのまま3日が過ぎ去った。見かねた弟子たちが仏に祈りを捧げたところ、ようやく死体はチャン・ウォンシムの身体から離れたという。この出来事があって以来、チャン・ウォンシムは二度と死体を背負って運ぼうとはしなくなったと伝えられている。

『慵斎叢話』にはこの妖怪、あるいは怪現象に名前はない。『韓国妖怪図鑑』の著者のコ・ソンベ氏がチャン・ウォンシムの遭遇した出来事から「チャクシ(着尸)」と命名したようである。なお、チャン・ウォンシムは賤民出身の僧侶で、『朝鮮王朝実録』によれば、李氏朝鮮の第9代国王の成宗(ソンジョン)にその活動を認められて褒美を賜ったと記されている。

《参考文献》

  • 『한곡 요괴 도감』(著:고성배,2019年)(韓国語)
  • 『慵齋叢話』(著:成俔,1525年)(韓国語)

Last update: 2026/02/25

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